2013年1月10日木曜日

「腹ペコ」が未来をひらく



「食育祭inふくおか 2012」 食育最前線シンポジウム 報告

「腹ペコが未来をひらく~“足りない”ことの豊かさを知る~」より ⑥

(シンポジストのお話の一部紹介です)             

高島和子さん
(専業主婦から農業の道を選択。南阿蘇村で農薬、化学肥料を使わない自然農に取り組んでいる。一方、多くの方が阿蘇の自然と関われるように、農地、自宅を広く開放している)

自給自足できるお百姓さんにあこがれ、4人の子どもさんと共に福岡から南阿蘇に移り住んで20年。誰もやっていない無農薬の田んぼを譲り受け、7年前からは全く肥料を使わず、水と太陽の光と人の声で元気なお米が育てる自然農に取り組み、就農当時に植樹した7000本のお茶の苗も5年前からは一滴の農薬も肥料も与えず、酒作りに欠かせない酒米も無農薬で作っているそうです。

就農当時を振り返って、

「私は女であり、村社会の中で女のくせに、夫がいるくせにとかいろいろ言われましたが、農業への熱い想いで燃えていましたので、やがて農業を女が担っていく時代が来るであろうと信じて頑張り、やっと農業委員会への申請が下りました」と。

今では南阿蘇村には新規就農者も増え、本当に女の人が活躍できる場が出きたそうで、まさに開拓者となられたわけです。

街から田舎に移り住み、周辺の方々の協力を得て4人のお子さん方を育てたという体験から、今はご自分が街と村をつなぐ役割を積極的に引き受け、子ども達が自然を楽しむだけでなく、都会生活で疲れた大人の方々にも居場所作りをなさっておられるそうです。日が昇ったら働いて日が沈んで一日が終えていくというサイクルがきちんとできるスペースの中で、「楽しかった」「よく眠れた」と帰っていかれるそうです。

そして最後にお話しくださったことは、

「南阿蘇村は水を守る環境を作るということを全国に発信しています。
熊本は地下水を守りましょうという運動があります。
水田、森林も水をためますが、水田が一番水をためます。
その水が地下水にどんどん流れていきます。
たとえばその中に少し肥料を入れます。
植物は、皆さん考えて肥料設計しますが、
人間にも元気な人、弱い人がいるように、
ご飯を出しても、食べれたり食べれなかったりするように、
作物もこうであろうというものを入れたとしても
100%作物が吸い上げるとは限りません。
それに作物は、ものが無ければ無いほど根を伸ばし力を蓄えて
自分の力で生きていくと思います。
だけど入れてしまうと残りのものは全部地下のほうにおちていき、
やはり濁ったものが流れていくだろうということで
自然農に私は興味を持ちました。
そのようなものを作っていくことにプライドを持ち、
消費者の方たちには、それを食べることによって
地域の自然を支えているというプライドをもつというお裾分けが
できればと思っています」と。

土地もない、知識も経験もない、身寄りもいない、無いことだらけから始まった阿蘇での農業暮らしは、「料理が好き、自然が好き、お百姓さんへの憧れから」というのですから、「無い」「足りない」ということは、好きな目標に向かって突き進んでいくシンプルかつ大きな原動力であると実感するお話でした。  

※幼児教育、不登校支援、医療、農業、食育に関わってこられたシンポジストの
体験を順次ご紹介していきます。

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